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■キャラクター誕生秘話
放送終了から半年あまり。「幕末機関説 いろはにほへと」の世界の成り立ち、当時のことなどをより深く知っていただきたいという思いから立ち上げた本企画も、いよいよ今回が最後となりました。
振り返ってみれば、「いろはにほへと」の世界を引っ張ってきてくれたのは、史実と虚実を巧みに織り込んだ物語もさることながら、やはり何といっても、キャラクターデザインを手掛けた「コザキユースケ」氏の生み出す魅力的なキャラクターたちだったと思います。そこで、今回はコザキ氏とともに設定作業を振り返ってみたいと思います。 |
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■キャラクターデザイナー コザキユースケ氏に聞く |
関口(以下・セ):まず、「いろはにほへと」お疲れ様でした! |
コザキ(以下・コ):お疲れ様でした。設定製作の関口さんには散々肝を冷やさせてしまって申し訳ございませんでした(笑) |
セ:いえいえ(笑)。今回は、キャラクター原案&キャラクターデザインというお仕事でしたが、いつぐらいからこの作品に携わっていただきましたか? |
コ:企画に携わらせて頂いたのは、この企画が立って少ししてからなのでもう4年近く前になると思います。 |
セ:当時、「時代劇」と聞いて、どんなイメージをもたれましたか? |
コ:総監督が高橋良輔さんという事で、最初はハードボイルドな物なのかなと想像したのと、「今までに無い時代物のデザインを作りたい」という意欲が湧くのを感じました。 |
セ:そこから生まれたのが、「秋月耀次郎」だったと思うのですが、一番試行錯誤されてましたよね? どの辺がご自身的に納得いかなかったというか、こだわりたかったところはどこですか? |
<初期段階の秋月耀次郎。数多くのバリエーションが存在し、コザキ氏のこだわりが伝わってくる。>

コ:舞台が和の文明の最盛期であり最後であった幕末という事で、単なる和服と言うだけではない、和洋折衷が入り乱れた物にしたかった事と、「刺客」という日陰で行動するキャラから色は暗め、そして特徴だと思うんですけど、白い襟とマントを外したシルエットはゴシックロリータや西洋のドレスのイメージを持ってきました。 |
セ:確かにあの、耀次郎の「ワイシャツに袴」は斬新でしね。和洋折衷っぽさが、正に「幕末」っぽい感じがしました。
では、「赫乃丈」のデザインはいかがでしたか? 初めは長髪でしたが? |
<初期段階の赫乃丈。当初は長髪でデザインされていた。>

コ:赫乃丈の髪型は、試行錯誤中にたまたま描いた物に目を留めて頂き決定した様な覚えがあります。あと髪の色がちょっと亜麻色なのは、ごくごく初期に赫乃丈はハーフという設定があったためだったと記憶しています。衣装的には、「女である事を隠している女形(おやま)」というちょっと複雑な物だったので、これは難しかったです。せっかくの女の子キャラなので体のラインは出したい、でも女形役なのであまり女女してるのはワザとらしい…結局、アニメのキャラは記号であるという事に行き着いたので、結構自然体な設定が出来たと思います。 |
セ:なるほど。今聞くと、面白いですね。そんなことがあったとは。
ライバルとして描かれている「神無」のデザインはいかがでした? 眼帯という発想はコザキさんからですか? |
<初期段階の神無。当初は眼帯なしで設定されていた。>

コ:眼帯は…どこから出た設定だったかはっきり覚えていないんですが、チーフディレクターの大橋誉志光さんからだったような…記憶があいまいですみません。衣装デザインとしては単純にイギリスっぽさと、線の細さ、それとフリルを使ってエレガントさと色香的ないやらしさを出そうと思いました。とにかくスマートにと言う感じです。 |
セ:神無は初期段階からそんなに変更はないですね。結構、イメージは固まっていたのですか? |
コ:神無に関しては主人公の秋月のデザインがほぼ決まっていたので、その対になるライバルという事で殆ど悩む事がありませんでした。 |
セ:「いろは」は遊山赫乃丈一座をはじめ、様々なキャラクターが登場しましたね。中でも、「中居屋」のデザインを見たときには、スタッフ一同、度肝を抜かれましたが(笑)、あのイメージはどこから? |

<初期段階の中居屋。髷が無いだけでも、ふてぶてしさは健在。>
コ:中居屋のデザインは、象徴的な悪役?アイコンを作らねばならないと言うのがありましたので、やはり一番目に付く所に・・・と思い、髷を含めて髭、眉毛、頭飾りと頭部に集約させました。そしてあの恰幅の良さは純粋に名前から連想した僕個人のイメージです。「重」っていう漢字が目に付いたのでつい(笑) |
セ:なるほど。彼の強烈な外見は、物語中盤を引っ張るに足る人物でしたからね(笑) |
コ:ですね(笑) |
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