スペシャル
メニュー設定紀行キャストコメント
 
ニュース
スタッフ&キャスト
ストーリー
キャラクター
ワールド
商品情報
スペシャル
リンク
トップ
いろはにほへと設定紀行

第6回 続・殺陣について、そして武器について

■続・殺陣とは何か?
前回、我々制作スタッフは、殺陣とは何か?という疑問を殺陣師である「牧秀彦」氏に尋ねてみました。今回はさらに突込み、アニメーションと殺陣について質問をしてみました。

Q1:舞台や時代劇のように役者へ直接指導するのと、アニメーターに作画してもらうのはどんな違いがあるのですか?アニメーションの殺陣師としての仕事の流れを、具体的に教えてください。
A1:当たり前のことですが、アニメーションの場合にはすべての動きを絵にしていただかなくてはなりませんので、役者さんへ個人別に指導するようにはいきません。そこで『幕末機関説いろはにほへと』では私がモデルとなり、剣術の基本的な動きを撮影してもらって、スタッフの皆様にお見せしました。
まずは、サンプル映像をご用意したわけですね。その上で各話のシナリオ会議に参加して殺陣のアイデアを出し、仕上がってきた絵コンテを赤ペンでチェックした上で演出・作画監督の方と最終の打ち合わせし、原画を描き起こしてもらうという方法を採らせていただきました。
また、スタジオには可能な限り常駐し、各カットを担当されるアニメーターの方とも直に打ち合わせをさせていただいています。口頭でお話するだけでは伝わりにくい動きについては、スタジオに常備している模擬刀を使って、実際に動きをお見せするようにしています。
Q2:一番苦労したのはどのシーンですか?
A2:第一話「凶星奔る」冒頭の、蒼鉄と山岡鉄舟の一騎討ちですね。なにしろ作中に出てくる最初の殺陣ということで見ごたえのあるシーンにしたかったですし、時間をかけて取り組みました。
Q3:一番お気に入りのシーンはどこですか?
A3:第八話「仇討ち本懐なる」での、秋月と神無の初対決です。
刀と銃の戦いをどうやったら成立させられるか?と、シナリオ会議の段階でじっくりとアイデアを錬りました。映像として素晴らしい出来に仕上げていただき、とても気に入っております。
まともに戦えば、刀で銃に勝つことは難しいでしょう。かといって逃げ続けるばかりでは勝負になりませんので、秋月には障子や畳といった、日本家屋ならではの障害物や照明の暗さを活用する戦法を採らせました。弾道を読み、手元を固定して銃弾を斬り割ったりするケレン味のある描写を交えつつ神無との接近戦に持ち込むわけですが、お互いに弱く見えてしまってはライバルとして共に引き立ちませんので銃身で刀を弾いたり、柄で銃口をかち上げたりする攻防を考えました。
こうして殺陣(剣術)と技斗(格闘)を合わせた、新しいスタイルの殺陣を生み出すことができたのもスタッフの皆様のおかげです。ありがとうございました!
<牧 秀彦(まき ひでひこ)プロフィール>
1969年東京都生まれ。剣豪作家。居合道・剣道の修業経験を踏まえて『哀斬の剣』(光文社)『影侍』(祥伝社)『深川素浪人生業帖』(学習研究社)『巴の破剣』(KKベストセラーズ)の時代小説シリーズ、『剣豪 その流派と名刀』(光文社)『図説 剣技・剣術』(新紀元社)などの剣術・日本刀ノンフィクションを多数執筆。夢想神伝流居合道五段。

■キャラクターたちの個性を描く武器
「殺陣」について理解を深めたところで、今回はキャラクターたちが持つ「武器」について解説したいと思います。
「アニメで本格的な時代劇を作ろう」と企画した段階で、やはりその根幹として外せなかったのは「チャンバラ」でした。時代劇の真髄ともいえる剣戟。しかし、単調な物になってもつまらない。そこで、各キャラクターの体躯や性格に合わせて、それぞれの武器が設定されたのでした。

■個性に富んだキャラクターたちの武器

月涙刀(陰の大太刀)

秋月と月涙刀
主人公、耀次郎が持つ太刀。代々「永遠の刺客」と呼ばれる剣士に受け継がれてきた刀ゆえ、小柄な耀次郎の身長には長めの刀となっています。「覇者の首」とそれに附する力を前にしたとき、その刃先には涙が伝う。物語の全てを象徴する「刀」として設定されました。
鬼笛
柄頭の「鬼笛」が「首」のありかを感知する。
馬針
隠し武器である「馬針」も耀次郎のもうひとつの武器。手裏剣のように投げつける。

月涙刀(陽の小太刀)

赫乃丈が日光東照宮の地下「封印の間」で見つけた小太刀。「覇者の首」を封印し、幕府を開いた徳川家康によって「首」と供に封印されていました。実は、秋月の持つ「陰の大太刀」と対を成す刀でした。当初、赫乃丈の持つ月涙刀には名称が無く、「月涙刀と対を成すから日輪刀とかどう?」と高橋総監督は笑っていましたが、対を成す「陰」と「陽」の意味で「陽の小太刀」と名づけられました。
赫乃丈と月涙刀
二振りの月涙刀は、二対が揃うことで、その真なる力を発揮することができました。
赫乃丈の手から、秋月の手に託され、耀次郎は遂に「覇者の首」を封印したのでした。(第26話)
秋月と赫乃丈の刀
月涙刀 陽の小太刀は、赫乃丈の思いとともに秋月に託されたのだった。
覇者の首封印
二振りの月涙刀が揃ったとき、念願の「覇
者の首」封印が果たされた――

次のページへ
Topへ



SUNRISE こちら ゾウの鼻