|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
一座悲願の仇討ちは成った。一座に安堵感が漂う。
だが、座付き作者・茨木蒼鉄が描いた次回作は、赫乃丈の両親暗殺を演目にしたものだった。復讐劇は終わったはずだと抗議する赫乃丈。しかし、蒼鉄はまだ何も終わってはいない針尾玄藩の後ろにこそ真の敵は居ると告げる。そして、新作芝居にその名を載せ、おびき寄せる作戦を提案する。
「何事も表があれば、裏もある。恐れながら天下の御政道もこれまた同じ!」
横浜遊郭の絢爛豪華な花魁道中に加わり、新作芝居の宣伝をする赫乃丈一座。
だが、高らかに口上を述べる赫乃丈の姿を、ひとつの銃口が静かに狙っていた。 |
 |
|