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いろはにほへと設定紀行

第3回 殺陣(たて)について

■本格的な殺陣を描く
企画コンセプトである「本格派時代劇」を目指すにあたり、制作スタッフがこだわったのは「殺陣」の描写であった。アニメ作品に殺陣指導が入ることなど異例なことではあるが、アニメ時代劇が今まで避けてきた剣戟のアクションを、本格的に描こうというのも本作の狙いのひとつであった。殺陣指導には、作家であり、全日本剣道連盟居合道 五段(夢想神伝流)の牧秀彦氏をお招きし、我々はよりリアルな剣戟の描写に重点を置いて考察を重ねた。

■殺陣とは何か?
今回、我々制作スタッフは、そもそも殺陣とは何か?という根本的な疑問に立ち返り、殺陣師である「牧秀彦」氏に、その殺陣の真髄を尋ねてみた。
Q1:そもそも殺陣とは何でしょうか? また、殺陣師は何をするのですか?
A1:一言で言えば刀を振るって戦う場面、いわゆる「チャンバラ」の演出です。
生身の役者がチャンバラを演じるとき、何の約束事もなしに刀を振るえば体に当たり、たとえ小道具でも怪我をしてしまいます。そこで主役(シン)も斬られ役(カラミ)もお互いに怪我をすることのないように型(かた)を決め、安全に、かつ迫力のある演技をしてもらうための現場指導者として、殺陣師が必要なのです。
Q2:いつごろからあるのでしょうか?
A2:江戸時代の歌舞伎から始まり、大衆演劇や映像作品に取り入れられました。
なお、もともと歌舞伎の世界で「立ち回り」「タテ」と呼ばれていたのが「殺陣」と表記されるようになったのは、大正時代に剣劇(けんげき)がメインの劇団『新国劇』を創設された俳優の沢田正二郎さん(一八九二〜一九二九)が始めたものです。歌舞伎の優美な立ち回りをリアルな真剣勝負のスタイルに変えた新国劇の殺陣は時代劇映画に取り入れられ、現在に至っています。
近年の映画やTVの時代劇・特撮物では、昭和の日本映画全盛期を支えた殺陣師の方々のお子さんやお弟子さんたちが伝統の技術を受け継ぎ、第一線でご活躍されています。
Q3:殺陣は剣技だけなのですか?
A3:格闘もあります。演劇用語で「技斗(ぎとう。擬闘、擬斗とも)」と言いますが、最近は「アクションコーディネーター」という呼び方もされています。
刑事ドラマなど現代が舞台の作品では刀と刀で戦うシーンはありませんので、テロップで「技斗」と表記されるのが一般的なようです。
また、ホームドラマで男女がケンカする場面を撮影するときにも、役者に危険がないように技斗師の方が現場に立ち会う場合があるそうです。
Q4:殺陣と武道の違いはどんな所でしょうか。
A4:演劇でも映像作品でも殺陣としてのチャンバラは体を大きく動かし、お客さんに分かりやすく、かつ見映えよくしなくてはなりませんが、武道としての剣道・居合道は常に実戦を想定し、最小限の体さばきで技を行うように教えられますので、身に付いた動きをそのまま映像にすると見映えがよくないといわれます。
殺陣はあくまで演出のひとつですので、実際の武道の動きを100パーセント反映することはないと私は考えます。たとえば刀の持ち方ですとか、立ち姿といった一部分を取り入れていただくだけでもアリティを生み出すことにつながるはずです。
<牧 秀彦(まき ひでひこ)プロフィール>
1969年東京都生まれ。剣豪作家。居合道・剣道の修業経験を踏まえて『哀斬の剣』(光文社)『影侍』(祥伝社)『深川素浪人生業帖』(学習研究社)『巴の破剣』(KKベストセラーズ)の時代小説シリーズ、『剣豪 その流派と名刀』(光文社)『図説 剣技・剣術』(新紀元社)などの剣術・日本刀ノンフィクションを多数執筆。夢想神伝流居合道五段。

■秋月の抜刀方法
代々、永遠の刺客とよばれた剣士に受け継がれてきた霊剣「月涙刀」。その形状は時代によって様々だが、鎌倉時代以降は、「太刀」という形で受け継がれてきた。
動乱の幕末に、「永遠の刺客」となった耀次郎は、この月涙刀を帯刀することを許される。が、小柄な体型として設定した耀次郎にとっては、伝授された月涙刀は体型には合わない長いものであった。そのため本作では、小柄な耀次郎がいかなる敵に対しても最速に対応できる抜刀術を牧氏に指導していただいた。以下に示すのが、耀次郎の抜刀術である。
(1)鞘ごと帯から抜く。
秋月の抜刀方法
(2)鞘を下ろしながら抜刀する。こうすることで、帯に帯刀したまま抜刀した際より、早く刀を抜き放つことができる。また、長い刀でも容易に抜き放つことができる。
秋月の抜刀方法

■秋月の構え方
秋月の構え方
劇中でも見られる通り、耀次郎の構え方は、右顔前に刀を構える独特な形である。この構えは、「海天藍真流(かいてんらんしんりゅう)」の「無我」の構えとよばれる。これは「突き」に長けた構え方である。新選組でも「突き」が多用されたように、幕末期の実戦剣術においては、「突き」は有効な剣法として活用されてきた。
秋月の構え方
耀次郎の「突き」はただの突きではなく、二段動作としての「払い」も兼ねていた。それ故、一段目の「突き」を失敗したとしても、二段目の「払い」で敵を傷つけることができる有効な戦術として活用されたのである。また、耀次朗の左片手突きは、間合いを詰めるための実践的剣術でもある。
秋月の構え方
(文/設定制作 関口敦彦)
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